フィレンツェのポルタロマーナの門を出て、徒歩3分の住宅街の中にある、SCHOLAは2019年、コロナ直前にできた学校だ。しかし、新しい学校というよりは、戦後からある革の鞄の学校SCUOLA DEL CUOIOが成長してできた学校と言えるだろう。
目次
学校誕生の背景
2000年~ 時代背景 リラからユーロへ。
25年ほど前、リラからユーロに変わるころフィレンツェの旧市街には腕のいい職人の工房がたくさんありました。そしてそこに弟子入りしている日本人や外国人の方が多くいらっしゃいました。
中世の頃からメディチ家が芸術家の大パトロンとなり、レオナルドダヴィンチ、ミケランジェロ、ボッティチェリなど、芸術の街として栄えたという歴史的背景から、フィレンツェはヨーロッパの高度な職人技術の集まっているところでもありました。ジュエリー、陶芸、額作り、モザイク、靴職人、仕立て屋など。
しかし、2000年以降イタリアの通貨がリラからユーロに変わり物価が高くなり、大量生産の安いものが売られるようになり、大変そうなその姿をみて、職人の子達は、マーケティングやビジネスなどを学び、職人の技術を引き継がなくなっていっていました。
そんな中、師匠たちの技術を学び、受け継いでいったのは、当時留学する余裕のある外国人が多かったのです。その時、通貨の強い日本や、イギリスなど。
当時60歳~70歳くらいの師匠たちは、工房で作品を作り続けながら、修行にくる外国人たちにレッスンをしていました。
2010年~ 気軽に工房で修行できない時代に
しかし、2010年ごろからビザや滞在許可証の発行の規制が厳しくなり、外国人を工房で働かせる手続きが複雑になってきました。
学生ビザを発行してもらえる学校の書類の審査も厳しくなり、気軽に工房に外国人の生徒さんを修行をさせることができなくなってきたのです。
正式な書類がないと、工房には罰金が課せられます。
イタリアに来て職人の技術を学びたい外国人の学生はなかなか修行できなくなっていったのです。
そんな中、1930年に始まった革工芸の学校、Scuola del Cuoioがありました。
フィレンツェのサンタクローチェ教会の横の修道院で、戦後、家や両親を失った子供達などに手に職をつけてもらうために、職業訓練校として始まった学校です。
その時の生徒さんが師匠となり、鞄を作り続け、サンタクローチェ教会の近くには革製品のお店が多いのはそのんためです。
しかし、時代と共にだんだんと授業料が高くなり、ほとんどの生徒さんは外国人になりました。
2013年~ 革の鞄だけでなく、靴のコース誕生
そんな時、革の学校の創設者のお孫さんであるトンマーゾさんと同世代で友人であった、靴職人として成功していたStefano Bemerさんが 2012年、40歳代の若さで病気でお亡くなりになります。
Stefano Bemer(ステファノ ベーメル)の靴 といえば、当時アルノ川の反対側の工房に、イギリス人の有名な俳優、Daniel Day Luisが その靴に魅せられ、数ヶ月工房で修行させてもらったことでも有名でした。
その半年後に、トンマーゾ氏はステファノさんの工房を買い取り、ブランドを引き継ぐのです。
その時に、オーダーメイドの靴職人のコースもスタートします。
そして、紳士服ブランドとして、Stefano Bemerを立ち上げ、アメリカのNY進出に向けて動き始めます。
最初はサンタクローチェ教会の革の鞄の工房の横で靴のコースがスタートし、その後Via San Niccolo にStefano Bemerの靴のお店が移り、そこでコースも行われることとなりました。
そこには、StefanoBemerの一番弟子であった日本人の女性もいらっしゃいます。
だんだんと工房で技術だけを学ぶコースから、「学校」としての一年間を通して学べるコースと変化していきます。
技術だけではなくデザインからマーケティングまで。ほとんどの生徒が外国人でコースは英語で学べるようになります。
そんな中、フィレンツェはどんどんとマエストロが亡くなっていきました。
2014年にはポンテベッキオ渡ってすぐの靴のマエストロ、マンニーナ氏が78歳でお亡くなり、
2017年には陶芸の大師匠、 Romano Pampaloni氏が去りました。
2022年には、フィレンツェ出身の料理か、有名レストランCibreoのファビオ氏も。
ファッション系総合学校、POLIMODAやマランゴーニ、そしてデザイン系のIEDができますが、
職人の技術を学ぶことができる「学校」が存在していなかったのです。
2019年〜 いよいよ職人系総合学校SCHOLA誕生
- 設立:2019年.
- 学校の場所:SCHOLAはPorta Romanaから歩いて3分
サンタ・クローチェ教会の横の革の鞄の学校は、3時間などの短期の観光客の文化体験的なコースのみになり、長期コースはSCHOLAで受講できるようになりました。
コースの開始日と料金(2024年度)
少人数制の為、定員に達しますと締め切りますのでお早めのお申し込みをお願いいたします。
コースの内容 / 開始日 / 費用
革の鞄作成コース:
- 長期コース校舎:SCHOLA
期間:10週間(5,900ユーロ) と 20週間(10,800ユーロ)
開始時期:2月〜・9月〜
内容:
デザイン:型紙作り、
素材の勉強、なめし革と布の勉強、工房では何パターンかの鞄を作ります。ミシン、カット、組み立てなど、金箔貼りの見学 - 短期コース校舎:Scuola del Cuoio
詳細は>>>>Scuola Del Cuoioのページ
靴作成コース:
- Stefano Bemer Footwear Academy : ビスポークの紳士靴作り
校舎:SCHOLA
期間:20週間(13,800ユーロ)
開始時期:9月〜
詳細は>>>>Stefano Bemerのページへ - スニーカーデザイン
校舎:SCHOLA
期間:12週間(6,900ユーロ)
開始時期:4月〜
- テクニカル 靴作り
校舎:SCHOLA
期間:20週間(10,800ユーロ)
開始時期:2月〜9月〜
サステナブルファッションコース
- 校舎:SCHOLA
期間:20週間(9,000ユーロ)
開始時期:3月〜9月〜
詳細は>>>サステナブルファッションへ
陶芸コース
- 校舎:SCHOLA
期間:10週間(5,200ユーロ) と 20週間(9,500ユーロ)
開始時期:2月〜9月〜
帽子作りコース SUPER DUPER
- 校舎:Manifattura Tabacchi
期間:12週間(7,800ユーロ)
開始時期:4月〜
料理コース CIBRèO
校舎:Cibreo
期間:12週間(7,800ユーロ)
開始時期:1,4,9月〜
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